厨子のこと③

(続き)
「厨子」であることで、伝統に現代性を持たせつつ、かつての制約や重圧を良いかたちに変換できるのだと思います。
このように「現代的・あたらしい」というテーマで活動を始めることは、前時代の保守性に対抗し、それを開放するための思想が原点であることが多いのかもしれません。
あくまできっかけのひとつとしてですが・・・。
類似した出来事は他分野にも良くあることのように思います。

では工芸作家として私は伝統に「現代性」を持たせることを、どのように捉えているのでしょうか?
私はクライアントの求めることに忠実になりきっては、本領(つまりは自分の作家性)を発揮することができないと思います。
例えばデザイナーなどの職種の方々であれば、そこを忠実に取り組まれるでしょう。
もちろん現代性を持つことは意識していますが、前述のそれとは意味合いが違うように思います。
「現代性」とは、例えば今ある社会や時代を俯瞰し、必要なものやあると良いものを探していくことだとします。
しかし私にとってのそれは同様な要素があるものの、自分が生きてきた過程で身に着けた中から探し出すというか・・・、
とりあえず客観的に俯瞰するような規模のそれではありません。

私の厨子は、古典的で保守的な「仏壇」としての気持ちが基になったまま固執し、そこから動くことはなさそうです。
その気持ちは私の半生に基づいています(おおげさですが)。
(続く)