厨子のこと⑤

(続き)
以上のことから、家族という単位がもつ象徴が仏壇であるとするならば、
そこに「影」が表現されなくてはならないと考えました。
それは日常的に存在するのは避けたほうが良いでしょう。しかし表現の必要性は強く感じています。
これまでギャラリー厨子屋が提案してきたお厨子が、比較的サイズの小さなものが多いのも、
「影」というテーマで制作するうえでヒントになりました。
伝統仏壇サイズで「影」を表現するのは、強烈に殺伐としてしまうように思いますが、
小さなものなら、その表現に無理なく専念できます。

こうして初期の仏壇という名の厨子が出来、2008年に発表させていただきました。
しかし「影」というものが自己と他者の共通の認識であるとしても、それを客観的に表現することに抵抗がありました。
他者の「影」をまるで理解しているかのように思われるのは嫌ですし、「影」がその人にとって実際的なものになった時は、まさしくそれが本人という「個」にのしかかっている時です。
ですから僕はそれをあくまで自分自身の中から探求していくべきだと考えています。
僭越ながら、その過程があって他者と思いを共有できればと思います。

(続く)

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